OBSのノイズ抑制・ゲート・コンプレッサーの違いと順番

マイク音声を複数のフィルターで処理する配信環境

OBS Studioの音声フィルターは、数を増やすほど音が良くなるわけではありません。ノイズ抑制、ノイズゲート、エキスパンダー、コンプレッサーは処理する対象が異なり、順番によっても結果が変わります。まず役割を分け、必要なものだけを追加しましょう。

各フィルターの違い

フィルター処理する問題処理中の声
ノイズ抑制PCファンや空調など持続的なノイズ話している間も処理する
ノイズゲート話していない間の環境音しきい値より小さい音を閉じる
エキスパンダー小さな環境音や呼吸音小さい音を滑らかに下げる
コンプレッサー通常の声と大声の差しきい値より大きい音を抑える
リミッター突発的な最大音量設定した上限を超えないよう抑える

ノイズ抑制は騒音を減らす処理、ゲートとエキスパンダーは小さい音を抑える処理、コンプレッサーとリミッターは大きい音を抑える処理です。似た名前でも目的は同じではありません。

フィルターを追加する前に行うこと

  1. マイクの正面と口元を10〜15cm程度から調整する
  2. 機材側の入力ゲインを、音割れしない範囲で確保する
  3. PCファン、空調、スピーカーなど騒音源を減らす
  4. フィルターなしの音を短く録画して保存する

大きな騒音や強い部屋鳴りをフィルターだけで自然に消すことは困難です。OBS公式も、ノイズ抑制は軽い背景ノイズには有効ですが、騒がしい部屋の大量のノイズには一般的に向かないと説明しています。

ノイズ抑制:持続する軽いノイズを減らす

音声ミキサーでマイクのメニューから「フィルタ」を開き、「ノイズ抑制」を追加します。PCファン、空調、一定のホワイトノイズなど、声の後ろで続く音を軽減する用途です。

RNNoiseとSpeexの選び方

  • RNNoise:設定項目が少なく、まず試しやすい。Speexより処理負荷が高い
  • Speex:抑制レベルを調整できる。強くするほど声が変質しやすい

無音部分だけでなく、文章を読んだ声も聞き比べます。子音が欠ける、声が水中のように揺れる、音楽や歌が不自然になる場合は、抑制を弱くするか使わない判断も必要です。

ノイズゲート:話していない間を閉じる

ノイズゲートは、音量が「開放しきい値」を超えると音を通し、「閉鎖しきい値」を下回ると音を閉じます。話していない間のキーボード音や環境音を抑えられますが、話している間のノイズは消せません。

しきい値の決め方

  1. 話さず、部屋のノイズがメーターのどこまで来るか見る
  2. 閉鎖しきい値をノイズより少し高い位置にする
  3. 小さめの声で話し、その声より低い位置へ開放しきい値を置く
  4. 語頭、語尾、小声が切れないか録画で確認する

開放しきい値は閉鎖しきい値より高く設定します。数字はマイク、声量、距離、部屋のノイズで変わるため、ほかの人の設定値をそのまま使わず、自分のメーターから決めます。

エキスパンダー:小さな音を滑らかに下げる

エキスパンダーも、しきい値より小さい音を抑えます。ゲートのように急に閉じるのではなく、比率に応じて音量を下げるため、声の始まりと終わりを自然に残しやすい処理です。

会話中の呼吸やマウス・キーボード音を完全に無音へ切る必要がない場合は、まずエキスパンダーを試すと調整しやすいでしょう。しきい値を上げすぎると、小声や語尾まで小さくなる点はゲートと同じです。

コンプレッサー:大きな声を抑えて差を整える

コンプレッサーは、しきい値を超えた音を比率に応じて小さくします。通常の声は適切でも、笑い声や叫び声だけが大きくなる配信に向いています。

  • しきい値:圧縮を始める音量
  • 比率:しきい値を超えた音をどれだけ抑えるか
  • アタック:圧縮が効くまでの速さ
  • リリース:圧縮を戻す速さ
  • 出力ゲイン:圧縮後の全体音量を補う

強く圧縮して出力ゲインを上げると、声はそろいますが、息遣いや環境音も目立ちます。大声のときだけ自然にメーターが抑えられる程度から始めます。

リミッター:処理の最後で最大音量を止める

リミッターは、設定した上限を音が超えないようにする安全装置です。OBS公式は、リミッターをフィルターチェーンの最後へ置くよう案内しています。

入力段階ですでに音割れしている音は、後からリミッターを使っても元に戻りません。機材側の入力ゲインを適切にし、リミッターが常時動作しない状態を作ります。

おすすめの順番は用途で変わる

基本の出発点

ノイズ抑制→ゲートまたはエキスパンダー→コンプレッサー→リミッター

コンプレッサーで環境音まで持ち上がる前にゲートやエキスパンダーで小さい音を抑える、分かりやすい順番です。

エキスパンダーを自然に使いたい場合

ノイズ抑制→コンプレッサー→エキスパンダー→リミッター

OBS公式のエキスパンダー解説では、コンプレッサーなどの処理後、リミッターより前への配置が案内されています。圧縮後の音量に合わせてエキスパンダーのしきい値を決められます。

どちらが常に正解というわけではありません。フィルターを上から順に処理することを意識し、1つずつ有効・無効を切り替えて、声が自然になる順番を選びます。リミッターを最後にする点は共通です。

調整は1つずつ録画して比較する

  1. フィルターなしの声を録画する
  2. ノイズ抑制だけを追加して録画する
  3. ゲートまたはエキスパンダーを追加する
  4. 小声、通常の声、大声でコンプレッサーを確認する
  5. 最後にリミッターを追加する

文章を読むだけでなく、笑い声、息継ぎ、少し離れた声、キーボード操作も含めて確認します。問題が起きたら、最後に追加したフィルターを無効にすると原因を特定しやすくなります。

まとめ

ノイズ抑制は持続音、ゲートとエキスパンダーは小さい音、コンプレッサーは大きな声、リミッターは最大音量を処理します。基本の順番から始めつつ、フィルターを1つずつ比較し、声が不自然になる処理は弱くするか外しましょう。

参考資料

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