家でナレーションを収録する仕事は、コロナ禍で在宅ワークやテレワークとして宅録ナレーションで対応する機会が増えて、案件も増えてきました。
また、コストや納期の関係で従来どおりスタジオで収録できる案件が少なくなったことも案件が増えた要因です。
宅録ナレーションの主な案件
- YouTubeの漫画
- 広告のナレーション
- 企業広告のナレーション
- オーディオブック
1年間毎日動画アップして数百万再生したYouTubeチャンネルのナレーションやオーディオブックの収録から編集までした経験から、自宅で収録できる宅録ナレーションを紹介します。
宅録ナレーションの機材はどんなのがいいのか?どうやって収録すればいいのか?という疑問に答えていきます。
宅録に必要なもの
宅録に必要なものを解説します。
最近はノイズ処理など音質面に対して条件がある案件が増えてスマホで対応できる案件が少なくなったので、スマホでの収録は紹介しません。また、Chromebookもスマホと変わらないので紹介していません。
パソコン
収録や編集に使うパソコンは、WindowsでもMacのどちらでも大丈夫です。
すでに持ってるパソコンがあれば、そのパソコンで良いでしょう。しかし、パソコンのOSが古く録音ソフトが対応できないときは、OSをアップデートするかパソコンを買い替える必要があります。
そして、パソコンは立ち上がって動作が安定するまで時間がかかるので、収録する前は早めに立ち上げて反応がスムーズになるまで待ちましょう。
パソコンの動作が安定する前に収録を始めると、録音したデータの書き込みが間に合わなくて録音が止まるなどのトラブルが発生する可能性があります。
収録前は早めにパソコンを立ち上げて安定して動作するようになってから、収録を始めましょう。
録音ソフト
- Audacity は、おすすめしません。
- フリーならDAW(ProTools FirstやStudio One Prime)がおすすめです
- 仕事でナレーションをするなら、早めに有料のDAWソフトを購入しましょう
録音ソフトは、フリーソフト(無料のソフト)でも問題ありませんが、Audacityを使うのは、おすすめしません。それは、Audacity がASIOドライバーに非対応で、WASAPIは共有モードで動作するため音質が劣化するからです。
今はオーディオインターフェイスに付属している無料のDAW(音楽のレコーディングに使うソフト)の機能が限定されたものが使えるので、Audacityより無料のDAWを選びましょう。機能限定であっても、収録だけなら問題ありません。
そして、無料のDAWは、ProTools FirstやAbleto Live Lite、Studio One Primeなどがあり、プロが使っているDAWの機能限定版です。基本的な操作方法は有料版と変わらないので操作で困ったときは、ネットや本で調べると情報が見つけやすいので、操作で心配しなくても大丈夫です。
そして、無料のDAWで録音ができたら、早めに有料のDAWに切り替えて、収録後の編集作業が簡単にできるようにすると良いでしょう。
マイク
ダイナミックマイク
ダイナミックマイクの特徴
- 比較的、頑丈なマイク(湿度や衝撃に比較的強い)
- マイクから、5cm〜10cmの距離で話す
- ポップガードがあると良い
最初に買うマイクは、ダイナミックマイクという種類のマイクがいいでしょう。カラオケ屋さんで見かけるタイプのマイクです。ダイナミックマイクは頑丈なのでマイクの使い方に慣れまで使うと良いでしょう。
SHURE BETA57Aは、クリアな音質が特徴のダイナミックマイクです。ラジオ局などで、DJやMCが使っているマイクなので、ナレーションでもおすすめのダイナミックマイクです。
コンデンサーマイク
コンデンサーマイクの特徴
- 衝撃に弱い
- 高い湿度に弱い
- 細やかな音が収録できる
- ファンタム電源が必要
- マイクから20cm〜30cmの距離で話す
- ポップガードが必要
ダイナミックマイクに慣れてきたら、コンデンサーマイクに買い換えるといいでしょう。
コンデンサーマイクは、ダイナミックマイクに比べて感度が高く小さな音もひろう精密なマイクなので丁寧に扱う必要があります。
それと、コンデンサーマイクは湿度に弱いマイクなのでデシケーターという湿度が一定に管理できる箱か、シリカゲルなど乾燥剤を入れたタッパなどに入れて湿気を避けて保管しましょう。
MXL990は、安価でコンデンサーマイクの中でもかなり頑丈なので、最初のコンデンサーマイクに選ぶと良いでしょう。
ポップガード
ポップガードは、口から出た息をマイクに当たらないようにするもの
マイクで収録するたにき「ボソボソ」音がするならポップガードが必要になります。金魚すくいの「ポイ」みたいな形をしているものです。
口の前に軽く手をあてて、「ぱぴぷぺぽ」と声に出して読んでください。口から出た息が手にあたったと思います。それが、ポップと言われるもので、口から出る風です。
ポップがマイクにあたると、ボソボソした音になり明瞭に声を収録できないので、コンデンサーマイクにはポップガードが必要になります。
そして、金属製のポップガードは拭いたり洗うことができるので清潔に保つことができます。
マイクケーブル
- マイクケーブルで音は変わります。良いマイクケーブルを使いましょう
- マイクケーブルは長めのものを使いましょう
マイクケーブルは、少し長めのものを選びましょう。パソコンにマイクが近いと冷却のためにパソコンのファンが回るとマイクで音を録ってしまう可能性がありますし、配線は長いほうが取り回しが良いので長さに余裕を持っておきましょう。
それと、マイクケーブルで音質が変わるので良質のマイクケーブルを選ぶことをおすすめします。
オーディオインターフェイス
マイクで収録した音声をパソコンで処理できるデータに変換してくれたり、ヘッドホンなどで音を聞くことができる機器です。
パソコンにUSBで接続できるタイプが良いでしょう。
コンデンサーマイクの使うのであれば、48Vのファンタム電源が供給できるものを使います。
フォーカスライトのオーディオインターフェイスは、音質が良いので最初のオーディオインターフェイスには、おすすめです。
モニターヘッドホン
収録中の音を確認したり、編集したりするときに使います。
ヘッドホンは、モニターヘッドホンで音が外に漏れにくい密閉型タイプが、収録中に聴いている音が漏れてマイクからひろわれないので、おすすめです。
モニタースピーカー
スピーカーは、モニタースピーカーを使いましょう。モニタースピーカーは、ノイズや音質がわかりやすいスピーカーなので、編集するときには便利です。
また、スピーカーは絶対に必要なのか?と思うかもしれませんが、ヘッドホンとスピーカーでは音が違います。プロのスタジオにスピーカーが数種類あるのも、スピーカーの大きさによって音が変わるからです。
小さくてもモニタースピーカーがある方が良いですが、準備や設置が難しい場合はヘッドホンで頑張りましょう。
また、完成した音はスマホなどで確認すると良いでしょう。それは、聴いてくれるユーザーと同じ環境でチェックするのが、ユーザーが聞く音質でチェックできるからです。
もし、スマホのイヤホンを持っていれば試してください。完成したものは、ユーザーと同じ環境でチェックするのが、間違いないからです。
ノイズ対策
声を録音するとわかるのが、部屋で反響している音や、口の中の唾の音、服や身につけているアクセサリーの擦れる音など、日頃気がつかない音がたくさん聞こえてきます。
部屋の反響は、毛布をかぶって録音すると反響音がなくなりますが、毛布をかぶって録音するのは暑くなりますし、大変なので現実的ではありません。そこで、リフレクションフィルターを使うと良いでしょう。部屋の反響音をかなり軽減してくれます。
- リフレクションフィルターは、マイクに戻ってくる反射音を防いでくれます
- マイクを囲う大きなリフレクションフィルターが、おすすめです
リフレクションフィルターは大きめのものがマイクを囲って調整できるので、おすすめです。
また、身につけているアクセサリーで音がなりそう物は外しておきましょう。服は擦れても音がでない生地の服を着ておきましょう。
宅録の流れ
パソコンと録音ソフトの起動
パソコンは、前もって起動して動作がスムーズになるまで待ちます。
動作がスムーズになったら、DAWを起動します。
マイクの準備
オーディオインターフェースをパソコンに接続します。続いてマイクをマイクスタンドに設置してマイクケーブルをつなぎます。
マイク→オーディオインターフェース→パソコンの順で接続ができたら、DAWでマイクのレベルメーターが振れてるか確認します。レベルメーターが振れていれば接続は正常なので収録できます。
ナレーション収録
原稿は前もって読んでおき、読み方が分からないところや苦手なところはチェックして練習しておきます。声は、安定した声を出せるように収録前に発声しておきます。
ノイズ対策のために、音がなるようなアクセサリーや服を着ないようにします。
収録中は原稿をめくる音など、ノイズはマイクから入らないように気をつけて収録します。
収録後にチェックして、ノイズに気づいたら、できるだけ録り直しすることを、おすすめします。
音声編集
音声の編集は一番難しく思うかもしれませんが、基本的には
音声調整の主な作業内容
- 読み間違いや不要なセリフのカット
- 間の調整
- ノイズの除去
- ボリュームの調整
- 声が明瞭に聞こえるように音質調整
セリフのカットや間の調整はDAWで処理できますが、ノイズの除去は、AIで高性能な処理をしてくれるソフトを使うといいでしょう。
宅録で気をつけること
宅録は、外からの車やバイクの音、飛行機や電車、電話の着信音、ペットや子供の声など、さまざまな外部からの音が発生する可能性が高いです。収録する時間帯を考えたり家族に協力してもらいながら、地道な対策を積み重ねてノイズを拾わないように注意しましょう。
まとめ
宅録は最初に設備を揃えるのは大変ですが、慣れてくれば自分のペースで進めることができて、声を出すことでストレス解消もできるお仕事です。そして、年齢関係を気にすることなくできます。
学生の頃に放送部や演劇部だった方や、声優に憧れていた方など少しでも声の仕事に興味があれば挑戦してみませんか?
声を必要とするお仕事は増えているので挑戦しましょう。